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公平性の上に成り立つ差別化
2017年04月03日 (月) 22:19 | 編集
 
飛行機の客室乗務員の接客サービスを頻繁に受けることで感じたのは、「サービスを提供する際に、公平性や均質性にこだわらないこと」であると、ちょうど1週間前の月曜日に記しました。
客室乗務員の皆さんは、その時の状況に応じてサービスの質や量を適宜変えてゆく柔軟さがあって、乗客各々に対しては必ずしも公平ではないし、その時の状況、例えば隣席の客質等によって変化させることを厭いません。
経営コンサルタントの先生とかが、よく仰るところの「サービスの良し悪しは、現場に裁量が与えられているかどうかで決まる」という、まさにソレです。
「公共交通機関であるから」という理由で公平性に固執しすぎると、マニュアル至上主義になったり、融通が利かなくなったりするので、顧客がその場で欲しているサービスを提供できない、ということなんですね。

人間が最も高い満足感を得るサービスとは、ありていに言ってしまえば「いかに自分だけ特別扱いされているか」を実感する時だといいます。
優先予約だったり、優先受付だったり、優先搭乗だったり、、、航空会社のサービスは、お得意様への優先〇〇の畳み掛けです。
とにかく「これでもか」と差別化をするわけですが、それは機内でも同様で、結果的にそれが他の乗客と比べて不公平な結果になったとしても、乗客個人のニーズに応えようとしてくれます。

かたや戦前から国営であったJRは、民営化された今でも公平性や均質性の「公共の原則」にこだわります。
年末年始や旧盆、GW等の繁忙期でも、閑散期とほとんど料金が変わらないのはその典型で、どの時期に、どの時間帯に乗っても料金がほぼ一律というのは、「どんな時でも、何が起きても乗客は皆が公平にサービスを受けられる」という、ある意味で安心感でもあるわけです。
東日本大震災発生の翌日に、JRの自動改札が完全フリーで、NTTの公衆電話は無料だったというのは有名な話ですが、これぞ元公営企業のなせる技なのかもしれません。
航空会社では、自然災害が起きて欠航が相次いだ時でも、運航再開時に優先的に乗れるのは上級会員(要するにお得意様)です。何時間早く空港で空席待ちをしていようが、後からやって来た上級会員に順番を抜かされるという仕組みです。

さて、それでは医療を提供するにあたっては、どちらの方が良いのでしょうか?
近年、特に歯科医療業界では、公共サービス型から脱却して、航空会社型のサービスを提供しようとする医療機関が増加しているように思われます。
高いお金を払った人が、より早く、より高度な医療を手厚く受けることができる、、、ぶっちゃけて言えば公的な保険診療とは対極の「地獄の沙汰も金次第」的な医療を、個人的には否定しません。
そういう医療機関は一定数あるべきだと思うし、全く無いよりも、ある程度あった方が我が国の医療水準自体は上がるでしょう。
しかし、すべての医療機関がそうなってしまった時、それは日本の医療の崩壊を意味します。
「高いお金を払うことによって特別な医療サービスを享受する」という一部の層が得る恩恵は「すべての国民が医療を公平に受けることができる」という広い裾野があってこそ成り立つのだと思います。
やはり、基本的には「医療は公平であるべき」です。

大規模災害などで大量の救急患者が発生した場合に、患者毎に治療の優先度を判定する「トリアージ」というものがあります。
これは「最優先で治療をすべき患者」「ある程度優先的に治療すべき患者」「後回しでもよい患者」「治療しても無駄な患者」に色分けするシステムです。
これも普段から「公平な医療」が提供されているからこそ、非常時にシステムが機能するのであって、普段から「払うお金で治療を受けられる優先順位が決まる」世の中なら、災害時にも「あの人はお金を持っているから軽症なのに優先的に治療してもらったんだ」ということになります。


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「自分だけ特別扱いされて嬉しい」というのは、人間の本能的なところに訴える、麻薬的なものかもしれません。
その満足感は逆に「あの人だけ特別扱いされているんじゃないの?」という猜疑心も産むのです。



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